すいかの雑多煮

医療(呼吸器)・音楽・読書について思ったことを雑多にまとめています。

【文献紹介】Tumor Treating Fields (TTFields) therapyの切除不能NSCLCに対する上乗せ効果(LUNAR試験)

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

Leal T, Kotecha R, Ramlau R, et al. Tumor Treating Fields therapy with standard systemic therapy versus standard systemic therapy alone in metastatic non-small-cell lung cancer following progression on or after platinum-based therapy (LUNAR): a randomised, open-label, pivotal phase 3 study [published correction appears in Lancet Oncol. 2024 Jun;25(6):e234. doi: 10.1016/S1470-2045(24)00221-3]. Lancet Oncol. 2023;24(9):1002-1017. doi:10.1016/S1470-2045(23)00344-3

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  • たまには肺癌の勉強。次々新しい治療が開発されていて、勉強すると椎名林檎「NIPPON」の「ほんのつい先考えて居たことがもう古くて」という歌詞が脳内再生される。

  • youtu.be

  • モリー大学(がんの臨床が有名っぽい)のTiciana Lealらは、プラチナ製剤で治療中または治療後に進行が認められた転移を有するNSCLCにおいて、標準治療に対するTTFの上乗せ効果を評価するため、第Ⅲ相非盲検ランダム化試験を実施し、全体集団およびICI併用群において、TTF上乗せによるOS, PFSの改善を認めた。

  • 標準治療によるサブグループ解析で、DTXよりもICIに対して明確な上乗せ効果があるのが興味深い。(18.5 M v.s. 10.8 M, HR: 0.63, 95%CI: 0.41-0.96, P value =0.03)。ICIの腫瘍に対する免疫応答をプライミングを電場が増強するという機序だろうか?

     

    Figure 3. Overall survival in the immune checkpoint inhibitor subgroup (A) and docetaxel subgroup (B) of the intention-to-treat population

  • CAR-T、BiTEsなどもそうだが、最新のがん治療開発においては、driver mutationありきの化学療法以外の治療選択肢を増やすことが注目されている。TTFは有効な治療成績を収めていそうに思われる。

  • 皮膚障害がほぼ必発なのはネック。予防できないものでしょうか。

  • 局所に照射するのではなく化学療法の感受性を上げる機序?なので診断部位に左右されないのだろうか。胸水・胸膜炎の症例ではどうなるか、気になった。

 

【文献紹介】関節リウマチに合併した播種性Mycobacterium chelonae感染症: 症例報告と文献レビュー

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

Pham JP, Boot M, Stefani M, Chapman S, Byrne A, Abdel-Shaheed C, Girgis L. Disseminated Mycobacterium chelonae infection complicating rheumatoid arthritis: A case report and review of the literature. Int J Rheum Dis. 2023 Jun;26(6):1167-1171. doi: 10.1111/1756-185X.14605. Epub 2023 Feb 16. PMID: 36798005.

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  • シドニーの病院からのケースレポート。
  • 関節リウマチに合併した播種性Mycobacterium chelonae感染症: 症例報告と文献レビュー
  • RAに対しPSL 20mg, SASP 1g, レフルノミド加療中の84歳男性(MTXはILDのため1年前に休薬)。みぎ膝関節痛で受診。血培(-)・関節(+)・皮膚(+)の播種性M. chlonae症。DiscussionのRA関連M. chelonae感染症について詳述した合計23件の研究では平均年齢65歳、女性優位、全例免疫抑制剤を使用していた(単剤13例、多剤12例)。免疫抑制剤により活動度がある程度抑えられていると考えられるRAの単関節炎ではNTMが鑑別だし、とくに皮疹を伴っている場合播種病変にも注意が必要。
  • Discussionで、播種性M. chelonae症は特に皮膚病変を伴うことが多いとの報告に触れられていたのは知見(Arch Dermatol. 2006; 142(10): 1287.)。
  • TNF-α阻害薬(OR 3.40)、スルファサラジン(OR 1.83)と同様にNTM感染を有意に増加させたが、メトトレキサート、ヒドロキシクロロキン、非TNF生物学的製剤は増加させなかったのも知見(Sci Rep. 2016; 6(1): 1-11)。
  • ちなみにchelonaeはウミガメの学名が由来らしいです。

【文献紹介】Disseminated nontuberculous mycobacteria infection in an immunocompetent host: A case report

 

前書き

久しぶりにきました。Twitter/Xは治安が悪くなってきたので旧来のSNSとしての活動はMisskey.ioにだいぶ移行していたのだけど、医療ネタとの親和性は低いので医療ネタのつぶやきはNoteかはてなブログで行おうと考えました。

かつ、医療ネタのインプット・アウトプット不足が最近目立つので読んだ文献や資料の感想やメモをブログに投稿してみることにしました。

全然はてブ慣れてないし、今後Noteに移行したりする可能性もあるけど、読んでる人がいないうちにトライしてみようかなと思います。

 

本題

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

Shin HS, Yang B, Kim SR, Kim HS, Shin KS, Shin YM. Disseminated nontuberculous mycobacteria infection in an immunocompetent host: A case report. Medicine (Baltimore). 2023 Jan 6;102(1):e32416. doi: 10.1097/MD.0000000000032416. PMID: 36607850; PMCID: PMC9829286.

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・韓国の忠北大学病院の症例報告。敗血症で入院し、PICCが留置された状態で退院した64歳女性。再度病状悪化し入院、7日目でRGM菌血症が判明→肺病変・皮疹からM. massirienseによる播種性NTM症と診断した。

ICU入院後に皮膚病変が出現し、生検でNTM症の診断になった。播種性NTM症の進行は思ったより早いことに注意が必要。

・この患者は特に免疫不全の背景はないようだ。PICCのみが菌血症のリスク因子であり、血流感染を来たしうるデバイスのある患者では特に注意が必要である。

・薬剤感受性の把握はやはり重要であるが、本症例では入院31日後にantibiogramがわかったため、そこまでどうしのぐかは結局ある程度経験がものをいうところではある。

ブログはじめました

こんにちは!
ブログを作成した経緯について簡単に説明します。

twitter/X歴は10年以上あるのですが、鍵アカ以外につぶやきやすいような匿名アカウントを何度か作ってそのたびしっくり来ず消して...を繰り返しておりました。
最近ようやく↓のアカウントがある程度問題なく運用できるようになってきました。
すいかの雑記帳 (@suika_no_memo) / X

 

このアカウントでは医療・音楽・読書に関して雑多につぶやいていたのですが、自ツイートを見直したときにいつ何を投稿したのか全然わからくなってしまったので、整理用にブログを作成しました。

twitter/Xで投降したネタをまとめておくノート的に使おうと思っておりますが、慣れてきたらまとまった日記的な投稿もできればと思っていますのでよろしくお願いします。